大きな窓でも寒さを抑えたい|断熱・日よけ・配置のポイント

「大きな窓にすると、冬は寒くならない?」「景色を楽しみながら、夏の暑さも抑えられる?」
大きな窓に憧れる一方で、冬の寒さや夏の暑さが心配になり、窓の大きさを決めかねるのではないでしょうか。
大きな窓の寒さを抑えるには、ガラスとサッシの断熱性能を確かめ、日よけと家全体の断熱も合わせて考えます。
この記事では新築を検討する方へ、窓の性能の見方と日差しへの対策、眺めを生かす配置を説明します。
窓の大きさや日よけを考えるときの参考にしてください。
目次
大きな窓の暖かさは、面積と断熱性能で変わる

冬の過ごしやすさは、窓の大きさだけで決まるわけではありません。窓の断熱性能に加え、壁や屋根の断熱と暖房の使い方も関わります。
窓の暑さ・寒さを考えるときに分けておきたいことは、次のとおりです。
「窓を小さくするしかないのか」と迷うときは、窓の大きさと断熱の性能を分けて比べてみましょう。
同じ断熱性能なら、窓が大きいほど伝わる熱が増える
同じ断熱性能と室内外の温度差で比べると、面積が大きい窓ほど伝わる熱は多くなります。 窓全体の断熱性能を示すUw値は、小さいほど熱を伝えにくい数値です。
窓の面積とUw値を変え、家の中と外の温度差を20℃にそろえた仮の計算例は次のとおりです。
| 比較項目 | 仮の窓A | 仮の窓B |
|---|---|---|
| 窓全体の面積 | 2㎡ | 4㎡ |
| Uw値[W/(㎡・K)] | 2.0 | 1.0 |
| 窓を伝わる熱 | 80W | 80W |
この例では、窓の面積が2倍でもUw値が半分なら、窓を伝わる熱は同じになります。ただし、窓辺の体感や家全体の暖かさが同じになるとは限りません。
冬は室内の空気が冷えた窓に触れ、冷やされて足元へ流れることがあります。この現象はコールドドラフトと呼ばれ、暖房中の窓辺が寒く感じる原因の一つです。
出典:建築研究所|面積と熱貫流率を用いる外皮性能の評価、YKK AP|窓辺の冷えとコールドドラフト
冬は熱の逃げを抑え、夏は日差しも遮る
断熱は季節を問わず熱の伝わりを抑え、日よけは窓へ届く日差しを調整します。 冬に熱を逃がさない対策と、夏に日差しを入れすぎない対策を分けて考えることが大切です。
季節ごとに重視したい対策は、次のとおりです。
例えばカタログに窓の断熱性能だけが示されている場合、その数値だけで夏の日差しを抑えられるかは判断できません。日差しを取り込む性質も別に確かめると、冬の寒さと夏の暑さを分けて考えられます。
窓の断熱性能は、ガラスとサッシを合わせて見る
窓の断熱性能は、ガラスと、それを支えるサッシを合わせて考えます。 ガラスだけの性能と窓全体の性能を区別すると、仕様を比べやすくなります。
窓の構成を理解するために、次の二つを押さえます。
ガラスと中空層が熱の伝わりを抑える
複層ガラスは、複数のガラスの間に空気などの層を設け、熱を伝えにくくします。 一般にペアガラスは二枚、トリプルガラスは三枚のガラスを使う構成です。
図はガラス構成の違いを説明する一般図です。枚数だけで性能を決めず、製品資料に示された窓全体の性能を確認します。
サッシを含む窓全体の性能を見る
ガラスの枚数だけでなく、枠を含めた窓全体で熱の伝わりを評価します。 窓全体の指標がUw値で、小さいほど熱を伝えにくくなります。
製品を比較するときは、同じ大きさや開け方の窓かも確かめてください。ガラス単体の数値だけを、別の窓全体の数値と比べないようにします。
出典:国総研|窓全体の断熱性能
窓の見積もりは、仕様と工事範囲を確かめる
見積もりでは、採用する窓の種類・性能などの仕様と数、位置・大きさを同じ資料で確かめます。 本体価格だけで比べず、取り付けや日よけの工事がどこに含まれるかも確認してください。
打ち合わせで整理する内容は、次のとおりです。
| 見るところ | 確認する内容 |
|---|---|
| 採用仕様 | 標準・変更の区分と窓全体の性能を確認する |
| 位置と大きさ | 眺め・採光・外からの視線を間取りと重ねる |
| 工事範囲 | 窓の数量や取り付け、日よけ等の含まれる内容を確かめる |
| 予算との調整 | 大切にしたい眺めを残し、配置や大きさを比べる |
例えば山が見える窓を大切にしたい場合は、ソファや食卓に座る場所を伝えると、窓の高さや幅を具体的にできます。希望する見え方と、家具を置く壁も一緒に考えてみてください。
予算を調整するときは、眺めたい方向や大切にしたい居場所を伝えてください。採光を確保する窓と景色を楽しむ窓の役割を分け、何を優先するかを話し合います。
住宅全体の見積もりも同じ条件で比べたい方は、工事範囲・数量・仕様・追加条件をそろえる記事をご覧ください。窓以外の項目にも使える比較表を載せています。
夏の日差しを遮り、冬の日差しを生かす
夏の日差しへの対策では、ガラスを通って部屋に入る前に、窓の外側で日差しをさえぎる方法を考えます。 冬に取り込みたい日差しもあるため、庇や日よけは季節に応じた使い方まで含めて選びます。
方角ごとに考えたい日差しの違いは、次のとおりです。
窓の方角に、そこで過ごす時間帯を重ねると、どんな日よけが必要かを考えやすくなります。
南向きの窓は庇だけで十分?暑い時期は日よけで補う場合もある
南向きの窓でも、庇だけですべての日差しを遮れるとは限りません。 窓の上に張り出す庇で夏の高い日差しを遮り、足りない場面は開閉できる日よけで補います。
庇で遮れる範囲を考える際は、次の条件を確認します。
見たい景色を一年中覆ったままにしたくない場合も、必要な時間だけ使える日よけを検討できます。暑い時期にどこへ日が入るかをもとに選ぶことが基本です。
出典:環境共生まちづくり協会|庇と日射遮蔽部材の組み合わせ、建築研究所|日よけの寸法・位置関係
東西の窓は、暑い時期の低い日差しを外で遮る
東西の窓では、朝夕の低い日差しを遮れる位置に日よけを設けます。 窓の上の庇だけでは届く日差しを遮りにくいときに、窓の前を覆うシェードや外付けブラインドも選択肢になります。
日よけの位置を考える際の確認項目は、以下のとおりです。
例えば夏の夕方に西向きのリビングでくつろぐなら、ソファやダイニングに日が差す時間と、日差しが通る窓の部分を確認します。同じ西向きでも周りの建物や樹木の影が異なるため、建てる土地に合わせて考える必要があります。
冬に取り込みたい日差しがある場合は、暑い時期だけ遮る使い方も考えられます。「東西の窓だから一年中閉じておく」とせず、季節と暮らしの時間を合わせて選びます。
出典:環境共生まちづくり協会|季節・方位・時間に応じた日射調整
日よけを使う時間帯は、窓辺で過ごす時間とも重ねます。必要な明るさと日差しを遮りたい時間を設計者へ伝えてください。
窓の見え方を、座る位置と日よけで確かめる

景色を楽しむ窓は、室内のどこから眺め、日よけを使うとどう見えるかを考えます。 窓だけを大きくしても、見たい景色や家具の位置と合っていなければ、希望する眺め方にならないことがあるためです。
暮らしを思い浮かべながら確かめたいことは、次の二つです。
まずはソファでくつろぐ場面など、窓辺で過ごす自分や家族の姿を思い浮かべてみてください。
窓の高さや枠の位置を、座る・立つ目線で確かめる
窓の見え方は幅だけでなく、座る・立つ位置と窓の高さや枠の位置との関係で考えます。ソファに座るときとキッチンに立つときとでは、目線の高さが違うためです。
図面や施工写真を見る際の着眼点は、以下のとおりです。
| 過ごす場所 | 確認すること |
|---|---|
| ソファ・椅子 | 座った目線と窓の下端・枠の位置を比べる |
| キッチン | 立つ位置から景色が見えるかを確かめる |
| ダイニング | 家具の配置と窓の位置関係を確かめる |
気に入った写真があれば、「座って外を眺められるところが好き」のように伝えてみてください。写真のどこに惹かれたかが分かると、敷地が違っても大切にしたい希望を共有できます。
日よけは、閉じたときの眺めと使いやすさで選ぶ
日よけは、日差しを遮っている状態での眺めと毎日の使いやすさで選びます。景色を楽しむ窓なら、使っていないときの外観だけで決めないことが大切です。
使う前に整理しておきたいことは、次のとおりです。
例えばシェードを下ろした状態の景色や明るさは、サンプルや製品資料で確かめられる部分があります。操作のために外へ出る製品なら、どこから近づいて開閉するかも一緒に思い描いてみてください。
建物全体の断熱と、暖房の届き方を合わせる
窓の断熱を高めても、壁や屋根から熱が逃げやすいと、家全体の暖かさは変わります。 窓を含む建物の断熱と、暖房が必要な場所へ届く計画を合わせて検討します。
窓を決めるときに合わせたいのは、次の二つです。
窓と壁・屋根の断熱を一緒に捉える
窓のUw値だけで、家全体の断熱性能は判断できません。 窓の面積や位置に加え、壁・屋根などの性能も建物全体の熱の逃げ方に関わります。
窓を大きくする案を比べる際は、建物全体の断熱計画も見てもらってください。窓を小さくすることだけを目的にせず、眺めや採光と一緒に検討します。
窓辺で過ごす場所と暖房の届き方を重ねる
窓辺に食卓やソファを置くなら、そこで過ごす時間と暖房の届き方を合わせて確認します。 図面上の家具の位置を伝えると、窓の冷えや空調との関係を相談しやすくなります。
ナカゴミ建設の「涼温な家」では、窓の性能仕様は決まっています。その標準仕様を土台に、眺め・採光や家具の配置に合わせて窓の位置と大きさを計画します。
家全体の温度差を抑える断熱と空調の考え方は、家の温度差を考える記事で詳しく解説しています。
【施工実例】Y様邸の窓と居場所を見る

南アルプス市のY様邸では、山々の景色を楽しめる大きな窓と、家族5人が一緒に過ごせるゆとりあるLDKを計画しました。 床に無垢材を使い、天井にも木を取り入れています。
居室の写真では、山並みが見える窓のそばにカウンターと椅子を配置しています。窓の幅だけでなく、座る場所と窓の高さを重ねて見ると、どこで景色を楽しみたいかを考える材料になります。

LDKでは、大きな窓が並ぶ壁面と、高い位置の窓、木のベンチやキッチンの関係を確認できます。居室とLDKを見比べ、ご家族が過ごす位置と残したい眺めを相談してください。窓の種類や断熱性能は、写真の印象だけで決めず、物件の資料で確かめます。
出典:ナカゴミ建設|南アルプス市Y様邸の施工実例・こだわりと住まいの写真
窓選びに関するよくある質問
窓選びについて、よくある質問にお答えします。
- Q. トリプルガラスなら、どの窓も同じ性能ですか?
A. ガラスが三枚でも、窓全体の性能が同じとは限りません。 サッシも含めたUw値を製品資料で確かめ、同じ条件で比べます。
断熱性能と日差しを取り込む性質は別に確認してください。
- Q. 留守中も外付けシェードを下ろしておいてよいですか?
-
A. 外出時に収納が必要な製品もあるため、下ろしたまま使えるかは製品ごとに確認します。 例えばYKK APのアウターシェードは、外出時に収納するよう案内しています。
日中に留守が多い場合は、収納している時間帯の日射対策も合わせて検討しましょう。
- Q. 断熱性能の高い窓なら、結露しませんか?
-
A. 断熱性能が高い窓でも、室温や湿度によって結露する場合があります。 窓の性能だけでなく、室内の湿気も一緒に調整することが大切です。
換気設備を活用し、加湿しすぎていないかも確かめてみてください。
- Q. 大きな窓はFIX窓でもよいですか?
-
A. FIX窓は開閉できませんが、眺めや採光を重視する場所の選択肢です。
開けて使いたい場所かどうかに加え、外側の掃除ができるかも確認してください。大きなFIX窓と開閉できる窓を、必要な場所に分ける方法も検討できます。
- Q. 外からの視線は、どう防げますか?
-
A. 目隠しになるガラスやルーバーなどを使い、気になる方向からの視線を遮ります。 目隠しの方法によって明るさや景色の見え方も変わるため、採光や眺めとのバランスを考えることが大切です。
景色を楽しむ窓では、遮りたい視線の方向と残したい眺めを設計担当者に伝えてみてください。
- Q. 大きな窓の掃除は大変ですか?
-
A. 掃除のしやすさは、窓の大きさに加えて高さや開き方で変わります。 室内から外側を拭ける窓もありますが、製品や設置位置によって清掃方法は異なります。
窓を選ぶ段階でメーカーのお手入れ方法を確認し、外側のガラスをどこから安全に拭けるかも考えておきましょう。
断熱と日よけを確かめ、大きな窓を計画しましょう
大きな窓の寒さを抑えるには、ガラスとサッシを含む窓全体の断熱性能を、建物の断熱・暖房と合わせて計画します。夏の日差しへの対策も必要です。
窓の候補を比べるときは、次の3点を確認してください。
窓の近くで過ごしたい場所や、今の住まいで気になる寒さをお聞かせください。敷地の資料や好みの窓の写真があれば、ご相談時にお見せいただくと配置を検討しやすくなります。
ナカゴミ建設では、眺めや外からの視線を伺い、窓の位置・大きさと日よけを図面で検討します。窓の近くで過ごしたい時間も踏まえ、ご家族に合う配置を一緒に考えましょう。
出典
執筆・編集:ナカゴミ建設 WEB広報