屋根点検報告書はどう読む?写真と調査範囲を照合する

「屋根点検の写真をもらったけれど、どこを見ればいい?」
「ドローンで撮影していれば、雨漏りの原因も分かる?」
写真と修理の提案を受け取っても、なぜその工事が必要なのか分からず、迷うのではないでしょうか。
屋根点検の報告書は、写真の場所、調べた方法、まだ調べていない場所を結び付けて読みます。
この記事では工場・店舗・事務所の担当者に向けて、屋根点検の報告書の読み方と、追加の調査や修理に伝える内容を説明します。
報告書の写真を見ながら、点検担当者に聞きたいことを一緒に整理していきましょう。
目次
写真は位置と撮影条件をそろえて読む

写真は、どの建物のどの部分をいつ撮ったものかを確かめて読みます。最初に、次の二つをそろえてください。
全体と近くの写真を、同じ番号でつなぐ
屋根全体の写真と傷みを写した写真を、位置図と同じ番号で結び付けます。報告書では、次のつながりを確認できます。
| 資料 | 見比べること |
|---|---|
| 建物と位置図 | 棟名・方角・屋根面と、写真番号の場所を確かめる |
| 全景 | 屋根の端や設備など、位置の手がかりを探す |
| 近景 | 傷みの形と範囲を全景の位置へ対応させる |
| 所見 | 写真の何を確認しているかを説明と見比べる |
近くの写真だけでは、修理範囲や周囲との位置関係が分かりません。図面がなければ、全景写真に番号を書き込む方法も相談できます。
山梨県企業局の点検マニュアルでも、写真番号と部位、近景・遠景を対応させています。民間建物に同じ様式を義務付ける資料ではありません。
出典:山梨県企業局|建築物点検マニュアル、63ページ「点検結果写真帳(屋根)」
撮影した日と、以前の修理を見比べる
前回と今回の状態を比べるときは、同じ場所を撮った日と、以前に修理した内容を確認します。写真の色の違いだけで、傷みが進んだとは決めません。比較するときは、次のことを確認しましょう。
見え方は日当たりや濡れ方で変わり、部材を交換した場所は比較対象も変わります。漏水時の雨・風と時刻も残し、乾いた点検日とは分けて伝えましょう。
出典:住まいるダイヤル|住宅紛争処理技術関連資料集「金属板の屋根からの漏水」。住宅向けの調査資料を、発生状況と履歴を照合する参考にしています。
調査方法と未確認箇所を分けて読む

写真に写っていることと、触れたり内部を開けたりして確かめたことを分けます。読み分ける項目は、次の三つです。
写真・触って調べた結果・内部調査を分ける
通常の空撮写真は、撮影できた外側の状態を確認するためのものです。方法ごとの確認範囲を、次のように聞き分けます。
| 方法 | 報告書で聞くこと |
|---|---|
| 可視写真(空撮・地上) | 撮れた屋根面と、画像で判別できる傷みの範囲はどこか |
| 触診・計測 | 触れたり測ったりした部位と、その調査結果は何か |
| 内部・開口調査 | 見えた内部の範囲と、開けずに残した部分はどこか |
鮮明な写真でも、屋根材の裏や隠れた金具は直接見えていません。建築研究所の外壁撮影実験も距離や機材による違いを扱っており、何を判別できる写真かを聞きましょう。
出典:建築研究所|建築分野におけるドローン技術の動向と展望、Ⅳ・108〜109ページ
見えたことと、原因を考えた理由を分ける
写真の事実と原因の推定、未確認の点を分けて読みます。次の模擬報告書で、読み分け方を確認しましょう。
| 区分 | 記載例 | 読むときの確認 |
|---|---|---|
| 観察した事実 | 南側軒先に変色がある(位置図A・写真A-1) | 位置と見た目を確認する |
| 原因の推定 | 変色部が漏水に関係する可能性がある | 未確定なので根拠を聞く |
| 未確認 | 固定部の裏側・室内の濡れとの関係を調べていない | 「異常なし」と扱わない |
| 次の調査 | 担当者が接近方法を確認し、屋根と室内を照合する | 補修範囲を決める条件を聞く |
雨水の入口が屋根以外にある場合や、結露の場合もあります。変色部だけを直すと決めず、原因の確認方法と補修範囲が変わる条件を聞きましょう。
未確認の場所と理由を残す
見られなかった場所は、異常がなかった場所と分けて記録します。報告書にない部分は、次のように確かめてください。
| 状況 | 担当者へ聞く内容 |
|---|---|
| 設備の下が写らない | 見えていない範囲と、別の確認方法があるかを聞く |
| 屋根の裏側を見ていない | 内部確認が必要な理由と、調査可能な場所を聞く |
| 一部を調べられなかった | 理由・残る判断事項・追加調査の要否を記す |
防水の調査でも、目視と切取り試験では分かる範囲が違います。内部を開けて確認したのか、表面を見ただけなのかを聞きましょう。
追加調査は、近づく方法と調査後の復旧も含めて専門担当へ相談します。不足する写真を自分で屋根へ撮りに行く必要はありません。
追加調査と修理へ写真番号を引き継ぐ

追加調査や修理の提案は、報告書のどの写真に当たるのか分かる形で受け取ります。追加調査と修理では、次の三つを整理してください。
追加調査の目的と範囲を聞く
追加調査では、何が分かっていないのか、どう調べるのかを一緒に聞きます。依頼前のメモは、次の項目で整理できます。
| 項目 | 決める内容 |
|---|---|
| 目的と場所 | 写真番号と、何を確かめれば次の判断ができるかを記す |
| 方法と残る範囲 | 実施する調査と、それでも確認できない部分を聞く |
| 実施条件と費用 | 立入・屋内保護・復旧の範囲と、別途費用を確かめる |
| 結果の受渡し | 回答予定日と、写真・所見を説明する担当を決める |
「詳しく調べる」だけでなく、どの範囲を確認すると修理方法を決められるのかを説明してもらいましょう。
修理する範囲と、まだ調べていない部分を見比べる
修理の見積もりでは、工事する範囲と、その理由が分かる写真や点検結果を結び付けます。未確認部分を含む提案なら、その部分の扱いも聞いてください。
残す・補修する・交換する場所を図に記します。開けた後の追加工事は、写真報告・金額提示・承認の手順を発注前に決めましょう。
修理後も同じ位置で記録する
修理後は工事した場所と、残した場所を分けて記録してもらいます。工事が終わったら、次の記録を受け取りましょう。
次の点検でも同じ場所を追えるよう記録します。見た目の変化だけでなく、施工担当者が確認した内容も聞いてください。
国交省の保全仕様書も、点検範囲と記録・報告を扱っています。官庁施設向け資料を参考にしており、本記事の表は正式様式ではありません。
出典:国土交通省|建築保全業務共通仕様書 令和5年版、1.2.2・1.2.4・1.4.7、第2編1.1.2
現在も漏水が続くときは、報告書をそろえる前に人と設備の安全を確保します。安全確保と連絡の順序は、会社の建物で雨漏りしたときの初動で詳しく解説しています。
屋根点検の報告書に関するよくある質問
屋根点検の報告書について、よくある質問にお答えします。
- Q. 「異常なし」なら、今後の雨漏りも心配ありませんか?
A. 「異常なし」は、調査した時点で確認できた範囲の結果です。将来の雨漏りがないと保証するものではありません。隠れた部分が未確認の場合や、その後に状況が変わる場合もあります。
報告書の対象範囲を読み、新しい漏水や台風後の変化があれば管理者と点検担当者へ伝えてください。
- Q. 「要経過観察」と書かれていたら、何を聞けばよいですか?
A. 次に確認する時期と場所、予定より早く連絡したほうがよい変化を担当者へ聞きます。時期を一律に決めず、傷みの状態と建物の使い方に合わせて相談してください。
漏水や落下のおそれが出た場合の連絡先も決めておきましょう。
- Q. ドローンを飛ばせない場合は、点検できませんか?
A. 別の撮影・調査方法を検討できますが、確認できる範囲は現地条件で変わります。地上のカメラや高所作業車などを使う方法もありますが、ドローンと同じ範囲を見られるとは限りません。
点検の目的と見られない場所を伝え、安全な方法と費用を依頼先へ相談してください。
- Q. 報告書と見積もりで場所の名前が違うときは、どうしますか?
A. 同じ場所かを写真番号と位置図で見比べ、工事する範囲をはっきり示してもらいます。部位名が似ていても、対象の屋根面や数量が同じとは限りません。
対応が分からないまま総額を比べず、見積もりの項目ごとに対象箇所を記してもらってください。
- Q. 別の修理会社へ相談するときは、写真だけ渡せばよいですか?
A. 報告書を共有できる場合は、調査した日や方法、まだ調べていない場所が分かる部分も一緒に渡します。傷みの写真だけでは、前の点検でどこまで確かめたかを読み取れません。
提案が違う場合は、確認した範囲や残す部材の違いを両社に説明してもらいましょう。
報告書の不明点を整理して、次の調査へ渡しましょう

屋根点検の報告書は、写真の場所、調べた方法、まだ調べていない場所を見比べます。追加調査や修理を考えるときの手がかりにしましょう。
点検担当者との読み合わせでは、次の3点を整理してください。
相談時は報告書・図面・症状の発生日時を伝えます。追加調査と修理のどちらを希望するかも伝え、依頼先の対応範囲を確かめましょう。
屋根工事や雨漏り点検に携わる会社として、株式会社安藤板金工業を紹介しています。