洗濯動線のつくり方|干す・しまうをつなぐ間取りと施工実例

「洗濯物を持って何度も往復しない間取りにできる?」「ランドリールームと収納は、隣にすれば使いやすい?」
洗濯物を運ぶ往復や片付けに手間がかかると、新居では洗濯を楽にする間取りにしたいと思うのではないでしょうか。
洗濯動線を短くするには、干し方と収納先を先に決め、洗う・干す・しまう場所をつなぐことが基本です。
この記事では新築の間取りを検討する方へ、家族の洗濯量と使い方に合わせて、干し場や収納を間取りに取り入れる方法を説明します。
普段の洗濯を思い浮かべながら、次の住まいで減らしたい移動と作業を整理してみてください。
目次
洗濯動線は、洗う・干す・しまうをつないで考える

洗濯動線は、洗濯機と干し場の近さだけでなく、乾いた衣類をしまうまでの動きも考えます。 家族が着替える場所も重ねると、日々の往復を整理しやすくなります。
間取りを選ぶ前に、次の二つを確かめてみましょう。
「ランドリールームが欲しい」という希望を、そこで何をしたいかに分けることが第一歩です。
今の洗濯手順を書き出し、移動が多い作業を見つける
普段の洗濯を順番にたどると、どこを近づけたいかが具体的になります。 家族で作業を分担している場合は、誰がどこで受け取るかも確かめてください。
書き出す内容は、次のように整理できます。
| 作業 | 思い出したいこと |
|---|---|
| 集める・洗う | 脱いだ衣類と洗濯かごをどこに置き、どこで分けるか |
| 干す・乾かす | 室内干し・外干し・乾燥機をどう使い分けるか |
| 取り込む・整える | どこで畳むか、ハンガーのまま収納するか |
| しまう・使う | 誰がどの収納へ戻し、どこで着替えるか |
例えば洗濯機のそばで干せても、取り込んだ衣類をリビングで畳み、家族それぞれの部屋へ配るなら移動は残ります。今の手順をそのまま新居へ移す前に、畳む場所や収納先も見直してみましょう。
距離と一緒に、衣類を置き直す回数も見直す
歩く距離を短くしても、衣類を仮置きして運び直す作業が残ることがあります。 干し場と収納の関係は、片付ける手順と一緒に考えることが大切です。
例えば次のように、作業が止まる場所を見直せます。
| 今の困りごと | 間取りで考えること |
|---|---|
| 畳んだ衣類が山になる | 家族ごとの収納先や受け取り場所を決める |
| ハンガーを掛け替える | そのまま掛けて収納する衣類の量を確かめる |
| 洗濯かごが床をふさぐ | 洗う前と乾いた後のかごを置く場所を用意する |
例えばシャツを干したハンガーのまま収納したいなら、必要なのは畳む台よりも衣類に合うパイプと収納量かもしれません。家事時間の短縮を一律に見込まず、減らしたい作業を具体的に設計へ伝えましょう。
干し方に合う物干しと収納の場所を決める
物干しと収納の位置は、室内干し・外干し・乾燥機をどう使い分けるかで変わります。 図は室内干しを中心に使う場合の工程例です。
干し場を決める際は、次の二つを分けて確認します。
乾燥機を主に使う家庭では、機器から取り出して収納へ移す動きも優先して考えます。物干しは、普段干す物と雨の日や量が増える日に使う物を分けて広さを確かめてください。
室内干しは洗濯量と空気の動きに合わせる
室内干しでは、衣類同士を密着させず、周りの空気が動くように干すことが大切です。 物干しの長さだけでなく、干す部屋の温湿度と換気・空調の計画も合わせて確認します。
計画時に確かめたいことは、次のとおりです。
| 確認すること | 計画への反映 |
|---|---|
| 普段の洗濯量 | 一度に干す衣類やタオルが並ぶか確かめる |
| 量が増える日 | シーツなどを干す場所と普段の衣類の場所を考える |
| 空気の通り道 | 衣類を密着させず、給排気を妨げない配置を確かめる |
例えば平日は少量でも、休日に寝具も洗うなら必要な干し場は変わります。予備の物干しを使う場所も決め、通路へ毎回広げずに済む配置を検討してみましょう。
干す量や生地によって必要な広がりは変わります。普段の衣類と寝具を洗う日を分けて伝え、干した状態の使い方を確かめてください。
出典:Panasonic|室内干しの空気・温度・湿度、ダイキン|部屋干し運転と乾き方の条件
乾燥機を使いたい場合も、表示に合う干し場を残す
乾燥機を中心に使う場合も、衣類の洗濯表示に合う干し場が必要になることがあります。 回転式の乾燥機を使えない衣類や平らに干す衣類を、普段どれだけ洗うか確かめましょう。
洗濯表示と手持ちの衣類を見ながら、次のように分けます。
| 衣類の扱い | 用意する場所 |
|---|---|
| 乾燥機を使う | 機器へ移す場所と乾いた衣類を取り出す場所を考える |
| つり干しする | 衣類の長さに合う物干しとハンガーの置き場を考える |
| 平干しする | 平干しネットなどを置いても通り道をふさがない場所を考える |
例えばタオルは乾燥機を使い、ほかの衣類は表示に従って干す暮らしなら、乾燥機と物干しの両方を計画に入れます。洗濯乾燥機で乾燥に進む前に衣類を取り分ける使い方なら、干す衣類の行き先も決めておきましょう。
収納は、しまう人と着替える場所に合わせる
収納の位置は、洗濯物をしまう人と衣類を使う場所に合わせて決めます。 一か所へ集める案と各部屋へ分ける案には、それぞれ確かめたい点があります。
二つの配置を、次の順で比べてみましょう。
どちらかに統一する必要はありません。毎日使う物と季節の衣類で、収納先を分ける考え方もあります。
近くにまとめる案は、運ぶ距離と収納量を確かめる
干し場の近くにファミリークローゼットを設けると、乾いた衣類を運ぶ距離を抑えやすくなります。 家族の衣類が収まるかと、出し入れする場所も一緒に確かめることが大切です。
一か所へ集める案では、次の内容を整理します。
例えば家族全員の衣類を集めても、棚が足りず一部を別室へ置けば、思っていなかった移動が増えます。普段の衣類に加えて季節物の置き場も決め、収納の大きさを考えましょう。
干し場と収納が近い場合も、衣類はしっかり乾かしてからしまいます。取り込んだ衣類が通路にたまらないよう、収納へ移すための場所も用意してください。
出典:LIXIL|洗濯と身支度を考えた収納配置例、エステー|衣類を収納する前の乾燥
分ける案は、タオルや衣類を使う場所へ戻す
家族がそれぞれの部屋で着替えるなら、使う場所へ収納を分ける案も考えられます。 洗濯後に運ぶ手間と、毎日の身支度で取りに行く手間を合わせて比べてください。
物と使う場面を組み合わせると、次のように整理できます。
| 使う物 | 収納先を考える場面 |
|---|---|
| タオル・パジャマ | 洗面や入浴後の支度をする場所の近くに置く |
| 毎日着る衣類 | 家族が着替える場所と取り出す高さに合わせる |
| 季節物・予備の寝具 | 日常の洗濯で使う収納を圧迫しない場所に分ける |
例えばタオルは洗面の近くに置き、各自の衣類はそれぞれの収納へ戻す組み合わせもあります。家族が自分で片付けるなら、誰の衣類をどこで受け渡すかも決めておきましょう。
「干し場に近い収納」と「使う場所に近い収納」のどちらを優先するかは、家族の着替え方や分担で変わります。
収納先が決まったら、衣類以外の持ち物も含めて量と内部の寸法を確かめます。詳しくは、収納計画の記事で解説しています。
ランドリーの広さは、機器と人の動きで確かめる
必要な広さは畳数だけで決めず、機器を使う場所と洗濯物を干した状態で確かめます。 置けることと、扉を開けて作業できることは分けて考えましょう。
図面で確認したい内容は、次の二つです。
希望する機器が決まっていれば、その製品の寸法図を打ち合わせへ持参すると確認しやすくなります。
洗濯機は本体寸法だけでなく、扉・配管・搬入も確認する
洗濯機の設置には、ホースや扉を開くためのスペースも必要です。 製品ごとに条件が違うため、購入候補の設置資料で確かめます。
本体の幅・奥行き・高さに加えて見る点は、次のとおりです。
| 確認する部分 | 図面と照合すること |
|---|---|
| 扉・ふた | 開く向きと必要な範囲が棚や出入口と重ならないかを見る |
| 水栓・排水 | 給水ホースや排水ホースを含めて接続できるか確かめる |
| 搬入経路 | 玄関・廊下・出入口を通って設置場所へ運べるか確かめる |
例えばドラム式の前にカウンターを設けるときは、扉を開いた寸法と人が立つ場所を重ねて確認します。機器の外形だけを図面に置いても、衣類を出し入れする姿勢は分かりません。
別置きの乾燥機を使うなら、その製品の設置条件も必要です。例えばリンナイのガス衣類乾燥機は、ガスの接続に加えて排湿ダクトなどの工事も確認します。
出典:Panasonic|洗濯機の寸法・設置・搬入、リンナイ|ガス衣類乾燥機の設置条件
干した衣類と作業中の人が、通り道をふさがないか見る
物干しやかごを使っている状態で、人が通れるかを確かめます。 脱衣や洗面と兼ねる場合は、家族が同時に使う場面も思い浮かべてみましょう。
図面を見ながら聞きたいことは、次のとおりです。
例えば夜に入浴と洗濯が重なる家族なら、脱衣所を通らないと干し場へ行けない配置が合うかを確かめたいところです。使う時間をずらす方法も含め、部屋を分ける案と兼ねる案を比べてみてください。
物干しの高さは、干す人が扱いやすいかと衣類の裾が当たらないかの両方を見ます。実際の機器や干す物に合わせて、作業と通行に必要な寸法を決めます。
洗濯の時間帯で、専用室と兼用する案を比べる
専用室にするか洗面などと兼ねるかは、洗濯と家族が使う時間が重なるかどうかで比べます。 距離だけを短くすると、干した衣類や洗濯かごが身支度の邪魔になる場合もあります。
図面では、次のように時間を重ねて確かめてください。
| 使う場面 | 間取りで確かめること |
|---|---|
| 夜に洗って干す | 入浴・着替えをする人と物干しの位置を重ねる |
| 朝に取り込む | 身支度中も衣類を運べる通路を確かめる |
| 週末にまとめて洗う | 一時的に増えるかごと寝具の置き場を用意する |
例えば洗面と兼ねるなら、鏡の前に立つ人の後ろへ洗濯物が張り出さないかを見ます。専用室を設ける案では、そこへ使う面積と収納や居室へ使う面積を比べてください。
自由設計では、家族が何時に洗い、誰が片付けるかも間取りに取り入れられます。回遊する経路を増やす前に、必要な作業場所と棚を置く壁を優先して整理します。
洗面・脱衣所の寒さや家全体の温度差への対策は、家の温度差を考える記事で詳しく解説しています。
【施工実例】M様邸のランドリーと収納を見る

ナカゴミ建設が手がけた南アルプス市M様邸では、ランドリーと収納の動きを考え、洗濯物を片付ける際の移動を短くしました。 写真の奥に洗濯機があり、そのそばに衣類を干すパイプと棚を設けています。

広いウォークインクローゼットも設け、衣類や荷物をまとめて収納できるようにしました。棚とパイプを備えると、畳んで置く物と掛けてしまう物の両方を考えられます。この家では、飾りたい物と生活用品でも収納を使い分けています。
洗濯後にしまう先と、日々使う物の置き場を合わせて考えた事例です。新居でも干す量だけでなく、乾いた衣類をどの形でしまうかを伝えると、物干しと収納の計画が具体的になります。
洗濯動線に関するよくある質問
洗濯動線について、よくある質問にお答えします。
- Q. 専用のランドリールームは必須ですか?
A. 専用室を設けることだけが選択肢ではありません。 洗面などと兼ねる場合も、洗濯物を干す場所と人が使う場所を分けて考えられます。
必要な作業と家族の利用時間を書き出し、専用室と兼用のどちらが合うか比べてみてください。
- Q. 回遊動線にしたほうが使いやすいですか?
A. 出入口を増やす前に、どの往復を減らしたいかを確かめます。 回遊できても使わない経路があれば、出入口のために棚を置ける壁が減ることもあるためです。
洗濯かごを運ぶ経路と収納を配置する場所を、同じ図面で比べてみましょう。
- Q. 2階に干す間取りは避けたほうがよいですか?
A. 階数だけで使いにくいと決める必要はありません。 洗濯機・干し場・収納の位置によって、洗濯かごを持って階段を行き来する回数が変わります。
晴れた日と雨の日の両方で作業をたどり、いつ階段を上り下りするか確かめてください。
- Q. 畳むためのカウンターは必要ですか?
A. 畳む衣類の量と、普段作業する場所に合わせて検討します。 掛けたまま収納する衣類が多い場合は、広い台よりもパイプや棚を優先する考え方もあります。
アイロン掛けもしたいなら使う道具を挙げ、作業面と収納のどちらに場所を使うか相談しましょう。
- Q. 乾燥機は住み始めてから追加できますか?
A. 追加できるかは、機種と住まいの設置条件によって変わります。 例えばリンナイの「乾太くん」では、ガスの接続や排湿ダクトなども確認します。
将来導入したい機器があれば新築時に伝え、必要な設備と工事の条件を確認しておきましょう。
洗う・干す・しまうをつなぎ、洗濯の往復を減らしましょう
洗濯動線は、干し方と収納先を先に決め、洗う・干す・しまう場所を家族の手順に合わせてつなぐと短くできます。隣り合う部屋の数より、実際の作業の流れが大切です。
間取り図では、次の3つの場面をたどってみてください。
ランドリールームを設けるか迷っている段階なら、今の洗濯で往復が多い作業をお聞かせください。ナカゴミ建設では、専用室にする案と洗面などを兼ねる案を、敷地や予算に合わせて検討します。
洗濯に便利な部屋が、ほかの家事や身支度の妨げにならないかも含めて、家族で使える間取りを一緒に考えましょう。
出典
執筆・編集:ナカゴミ建設 WEB広報