外壁のひび割れは塗装前に壁材と下地を調べる

「会社の外壁のひび割れは、塗装で隠してよい?」
「細いひびでも、下地の調査を頼んだ方がよい?」
営業を続けながら外壁を直したいとき、見た目の傷なのか、早く調べるべき異常なのか迷うのではないでしょうか。
外壁にひびを見つけたら、場所や変化、雨漏りや壁の浮きがないかを記録しましょう。塗装の膜だけか、壁材やその下まで傷んでいるかを調べて補修します。
この記事では工場・店舗・事務所の施設担当者に向けて、ひびを見つけたときの記録と塗装前に調べる内容を整理します。
安全な場所で撮った写真や手元の資料を見ながら、補修の相談で聞きたいことを確認していきましょう。
目次
ひびの位置・変化・通行への影響を記録する

施設側が残すのは、安全に見える範囲の状態と発生前後の記録です。調査を相談する前に、次の3点を整理しましょう。
壁の欠けや膨らみがあれば、人を近づけない
壁の欠け・膨らみ・剝がれがある場所は、人を離して管理担当者へ連絡します。出入口や通路の上にある場合は、その位置も伝えましょう。
ひびだけで危険度は決められませんが、モルタルやタイルの剝がれは落下につながるおそれがあります。自分で壁をたたいて調べないでください。
壁の真下での区画設置や破片の回収は避け、離れた場所で通路を変えます。立入制限と応急措置は専門担当へ相談してください。タイルの浮き・欠落への対応は、外壁タイルの落下のおそれと調査範囲で詳しく解説しています。
出典:国土交通省|官庁施設の施設管理者のための防災性能確保ガイドブック、Ⅱ-46〜47。落下の事例を参照し、個別建物の危険度を写真で判定するものではありません。
建物全体とひびを撮り、場所が分かるようにする
ひびの拡大写真だけでなく、建物のどこにあるかが分かる写真も残しましょう。安全な場所から分かる内容を、次の項目で残してください。
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 位置 | 棟名、方角、階、柱番号や窓・出入口との関係 |
| 形と広がり | 縦・横・斜め、長さや本数、目地と壁面のどちらにあるか |
| 周囲の状態 | 欠け、膨れ、変色、錆汁、雨染みの有無 |
| 利用への影響 | 通路・駐車場・搬入口との位置関係、室内の濡れや支障 |
| 写真と日付 | 全景と近景の同じ番号、撮影日、以前の写真や補修記録 |
窓角のひびと壁材の継ぎ目の切れでは、調べる内容が違う場合があります。周囲の写真も添えて、位置を伝えましょう。
高所の幅を測るために脚立へ上がる必要はありません。寸法は不明とし、調査時に測ってもらいましょう。
ひびの幅だけでなく、見つけた日や変化を残す
ひびの幅は判断材料の一つですが、幅だけで深さや広がり方、原因は分かりません。以前の写真と同じ場所を比べ、次の変化を記録しましょう。
発見前後の変化は伝えますが、時期が近いだけで原因や責任は決められません。幅は表面の開きの記録で、深さを示すものではありません。漏水がなくても浮き・欠けは別に調べます。
出典:国土交通省|建築保全業務共通仕様書 令和5年版、15〜16ページ「外壁」。官庁施設向けの項目を参照し、民間施設の法定周期へ転用しません。
表面・壁材・構造のどこが割れたか調べる

補修方法を選ぶには、表面の仕上げ(塗装など)と、その下の壁材や下地、建物を支える部分の状態を分けて調べます。調査で確かめる内容は、次の3点です。
塗膜の割れと壁材本体のひびは同じではない
塗膜だけの割れと、モルタル・パネルやコンクリートに達するひびでは、処置する対象が異なります。ひびが生じた部分は、次の表で分けて確認しましょう。
| 対象 | 専門調査で確かめる内容 |
|---|---|
| 塗膜・仕上塗材 | 割れの範囲、付着状態、下の材料にもひびがあるか |
| モルタルやタイルの下地 | 躯体との浮き、欠損、ひびの深さ、水が回る範囲 |
| ALC等のパネル本体 | 製品・取付け方法、本体と目地の別、欠けや固定部周辺の状態 |
| 構造体のコンクリート | ひびの広がりと動き、鉄筋腐食等、構造面の追加調査の要否 |
外壁は材質ごとに補修方法が違います。ALCパネルなどは指定材料も確認し、金属板やコンクリートへ同じ処置を一律に当てはめないようにしましょう。
出典:国土交通省|公共建築改修工事標準仕様書 令和7年版、4.1.1・4.1.4、同、4.5.4・4.5.5。官庁施設向けの改修基準を参考にし、当該建物の仕様は調査・設計で確認します。
浮き・錆汁・欠けを伴う部分は下地も調べる
ひびの周囲に浮きや錆汁、漏水があれば、表面を埋めるだけでよいかを再確認します。見えている線の外側に、調査が必要な範囲があるためです。
浮きは仕上げ材と下地などの接着面が離れた状態で、写真だけでは分かりません。錆汁も原因を決めつけず、内部の金物や鉄筋を調べる必要があるか聞きましょう。自分で壁を剝がして確かめないでください。
壁材の継ぎ目にあるシーリングの切れは、壁面本体のひびと分けます。
出典:国土交通省|公共建築改修工事標準仕様書 令和7年版、4.3.2、国土交通省掲載|赤外線調査による外壁調査ガイドライン、用語「浮き」
目で見る調査・打診・赤外線で分かる範囲を聞く
調査の名前だけで安心せず、どこを調べ、何が分かり、何が分からなかったかを聞きましょう。主な違いは、次のとおりです。
| 方法 | 聞く内容 |
|---|---|
| 目視・可視写真 | 表面の形や範囲をどこで確認したか、近づけない部分はどこか |
| 打診 | どの仕上げの浮きを調べるか、調べた面と調べていない面はどこか |
| 赤外線調査 | 対象材・日射や天候等の適用条件、打診等を併用する範囲 |
| 部分撤去・追加調査 | 内部で確かめる目的、開ける位置、調査後の復旧と費用 |
赤外線は表面の温度差を手掛かりにする調査です。定期報告のタイル・モルタル等を対象とするガイドラインも、撮影条件と打診の併用を定めています。
赤外線だけで全てのひびや内部が分かるわけではありません。深さや構造の確認は別に相談し、未調査の場所も記録してもらいましょう。
下地補修と仕上げ塗装を分けて提案を読む

ひびを直す作業と、表面を保護して仕上げる塗装を分けて確認します。発注内容を読むときは、次の3点を照合してください。
ひびの動きと材質で補修を選ぶ
補修方法は、ひびが生じた材料と深さ、動きや水の影響に合わせて選びます。「ひび埋め」という一語では、処置の違いが分かりません。コンクリートやモルタルの補修には、次のような方法があります。
浮きや欠けは別の処置が必要です。動くひびは補修後も再発する場合があるため、材質や動きに合う材料と仕上げを確認してもらいましょう。
外壁塗装と下地補修の違いは、外壁塗装と下地補修を比べる記事で詳しく解説しています。
出典:コニシ|外壁改修の工法選定、建築研究所|建築研究資料第145号、第3章「ひび割れ補修の問題点」。後者はタイル・モルタル系の技術検討であり、全外壁への施工仕様ではありません。
調査図と見積もりで、場所と数量を比べる
調査で見つかった傷みが、見積もりのどの工事に含まれるかを図面で確かめます。見積もりでは、次の内容を聞いてください。
ひびの長さと塗装の面積は別の数量です。未確認の下地がある場合は、仮の数量と確定した数量も分けてもらいましょう。
追加処置の写真・理由・金額をどう共有するかを発注前に決めます。仕上げで隠れる前に、下地補修の記録も残してもらいましょう。
塗膜や壁材を削る・撤去する工事では、石綿の事前調査等も確認します。見た目で有無を決めず、建築時期や資料を施工者へ渡します。
出典:国土交通省|公共建築改修工事標準仕様書 令和7年版、第4章、山梨県|解体・改修工事の石綿事前調査等の案内
工事後は補修位置と再確認条件を引き継ぐ
補修位置・材料・施工途中の記録と、次に確かめる条件を受け取ります。仕上がりだけでは内部を判断できません。次の内容を引き継ぎましょう。
次の確認時期は状態と工事内容で決めます。一律の年数ではなく、その建物に必要な点検を相談しましょう。
会社の外壁のひび割れに関するよくある質問
会社の外壁のひび割れについて、よくある質問にお答えします。
- Q. 細くて変化のないひびなら、次の塗り替え時期まで待てますか?
A. 細さと見た目の変化だけで、調査を先送りできるとは判断できません。材質や下地、周囲の浮きと通行への影響を確認する必要があります。
写真と発見日を担当者へ渡し、先に調べる場所と経過を追う場所を分けてもらいましょう。
- Q. 同じ場所が再び割れたら、前回と同じ補修を頼めばよいですか?
A. 同じ工事を繰り返す前に、前回の補修範囲と、残っている動きや水の影響を調べます。ひびは補修した線の近くに新しく生じる場合もあります。
前回の図面・材料・工事写真と現在の位置を照合し、再調査と再補修の理由を聞いてください。
- Q. 借りている店舗でひびを見つけたら、先に修理を発注してよいですか?
A. 危険箇所への接近を防ぎ、まず所有者や管理会社の連絡窓口へ状況を共有してください。工事の承認や費用負担は契約と管理の分担で異なります。
写真と支障のある場所を送り、調査の依頼先と営業中の対応を相談しましょう。
- Q. 写真を送れば、補修方法と金額を確定できますか?
A. 写真は相談の手掛かりですが、内部の状態や補修数量を確定できるとは限りません。高い面や仕上げの裏側など、写真で分からない部分も残ります。
概算と確定した提案を区別し、追加調査の範囲と撤去後の変更手順を確認してください。
ひびの記録と下地の調査結果をそろえて補修を相談しましょう

外壁のひび割れは、幅だけで塗装の可否を決めず、壁材・下地と周囲の状態を調べて補修を選びます。
相談時は、次の3点を整理してください。
外壁の傷みが気になったら、所在地と建物の使い方、症状をナカゴミ建設へお知らせください。危険度や工法は建物の状態を調べて検討します。
外壁の補修や防水に関わる会社として、有限会社佐野防水を紹介しています。