屋上防水は重ねて直せる?既存層と下地で工法を選ぶ

「屋上防水は、古い防水の上に重ねて直せる?」
「撤去する提案と残す提案は、何を比べればよい?」
提案ごとに材料名や取り除く範囲が違うと、金額以外に何を比べればよいのか迷うのではないでしょうか。
屋上防水を重ねて直せるかは、今ある防水層とその下の状態、新しい防水の接着・固定方法やつなぎ方を調べて判断します。
この記事では工場・店舗・事務所の施設担当者に向けて、屋上防水の調査内容と改修提案の比べ方を整理します。
現地調査を頼むときや、条件の違う見積もりを比べるときのメモとしてお使いください。
目次
防水の種類と雨漏りの記録を調査担当者に伝える

材料を選ぶ前に、今ある防水の種類や雨漏りの状況、屋上の設備と人の通り道を整理します。建物の管理担当者が分かることを、次の3点に分けて調査担当者に伝えましょう。
今ある防水は図面と前回の工事記録で調べる
見えている表面だけで種類を決めず、以前の仕様と残された層を調べます。手元の資料を、次の項目でまとめましょう。
| 項目 | 分かる範囲で用意する内容 |
|---|---|
| 既存防水 | 竣工図、仕様書、防水材名、保護コンクリートの有無 |
| 改修履歴 | 工事年、施工範囲、撤去・残置、部分補修の位置 |
| 室内の漏水 | 濡れた場所、天気と時刻、雨染みや水が落ちる様子の写真 |
| 利用条件 | 歩行頻度、屋上設備、停止できない機器、今後の変更予定 |
表面が灰色でも、防水層そのものか保護塗料かは分かりません。保護コンクリートの下など、見えない防水も調査対象です。
資料がなくても相談できます。材料名などは不明と伝え、内部調査の必要性と調査後の復旧は専門担当に確認しましょう。
膨れや水たまりは場所と雨の記録を残す
膨れや水たまりは、場所と発生日、雨の様子を記録します。見た目で撤去範囲を決めず、次の点を残しましょう。
安全が分からない屋上には上がらず、膨れも切らないでください。防水内部の水分や接着の状態は、専門担当に調べてもらいます。
漏水が続いている場合は、改修工法の比較より先に人と設備の安全を確保します。安全確保と連絡の順序は、会社の建物で雨漏りを見つけたときの対応で詳しく解説しています。
出典:国土交通省|建築保全業務共通仕様書 令和5年版、14〜15ページ「屋根」。官庁施設向けの点検項目を参照しています。
歩行・設備点検の条件を伝える
改修後に歩く場所と、設備を点検・交換する経路を先に伝えます。設備交換の予定がある場合は、次のことを相談しましょう。
設備点検だけの屋上と、日常的に歩く屋上では必要な保護が異なります。室外機や点検口への経路も図に記しましょう。
出典:国土交通省|建築設計基準 令和7年改定、2.5.2・2.5.3、合成高分子ルーフィング工業会|シート防水資料集「工事検査チェックリスト」。官庁施設・シート防水の資料を参照し、個別の改修仕様は設計者と確認します。
残すか撤去するかは下地と新防水の条件で決める

「かぶせる・取り除く」は今ある防水の扱いを示します。一方、ウレタンやシートは新しい防水の材料の名前です。この2つを分け、次の順で提案を比べましょう。
かぶせ工法でも傷んだ部分の処置が必要
今ある防水を残す案でも、傷んだ部分の補修や、端の部分を取り除く工事が含まれる場合があります。比べる際は、次の点を確認しましょう。
| 比較軸 | かぶせを検討する案 | 撤去を検討する案 |
|---|---|---|
| 既存層 | 残す層と不良部の処置を特定 | 防水層・保護層の撤去範囲を特定 |
| 新しい防水 | 既存材との適合、接着・固定を確認 | 露出した下地の補修と新仕様を確認 |
| 端部・排水口 | 重ねた後の高さと接続を確認 | 撤去・更新する部材と復旧を確認 |
| 工事の影響 | 部分撤去・固定作業等の音や搬入を確認 | 撤去音・廃材搬出・仮防水を確認 |
残す工法でも下地処理が必要で、一部撤去と仮防水を行う場合があります。壁側の立上りも残せるかは、今の状態と新しい仕様で確認します。
かぶせが必ず安く、全面撤去が必ず長持ちするとは限りません。調査結果と必要な工程をそろえて比べましょう。
出典:日本防水材料協会 アスファルト防水部会|改修工事のポイント、日新工業|立上り非撤去工法の条件
乾燥・接着・固定の確認で比較を進める
下地の水分と、新しい防水を支える接着・固定の条件を調べます。工法ごとに、次の確認をお願いしましょう。
施設側で防水を剝がしたり、試しに穴を開けたりする確認ではありません。
接着と機械固定では確認項目が違います。湿った下地に対応する工法でも、どんな状態にも補修なしで使えるわけではありません。
出典:合成高分子ルーフィング工業会|改修のポイント、同|工事検査チェックリスト、2.2「改修工事」
材料名と撤去範囲を分けて比べる
材料名だけで優劣を決めず、その屋上に施工する仕様を比べます。代表的な材料について、次の点を比べてみましょう。
| 候補 | 提案で聞く内容 |
|---|---|
| ウレタン塗膜防水 | 既存材との適合、下地処理、必要な膜厚の管理、設備まわりの施工 |
| シート防水 | 接着または固定先、接合部・端部の処理、設備まわりの納まり |
| アスファルト系防水 | 既存層との関係、積層と端部の納まり、熱・火気等を含む施工条件 |
既存層に直接施工できる条件は製品ごとに違います。シートの固定方法や、アスファルト系の火気の使い方も一律ではありません。
「防水一式」ではなく、製品と撤去・下地補修・端部の処置を分けてもらいます。ウレタンでは膜厚の管理方法も聞きましょう。
出典:エコ・ウレックス工業会|屋上防水改修工事、日新工業|改修防水工法の選定、国土交通省|公共建築改修工事標準仕様書 令和7年版、3.6.3。各資料の対象を参照し、全製品の施工可否や性能を保証する比較ではありません。
壁とのつなぎ目や排水口、工事中の雨への備えを確認する

工事の範囲は屋上の平らな面だけでなく、端や排水口、設備とのつなぎ目、工事中の保護も含めて確かめます。発注前と完了時に照合する内容は、次の3点です。
端部と設備まわりも範囲に含める
新しい防水の端がどこで止まり、排水口や設備基礎へどうつながるかを確認します。平場を重ねる場合は、仕上がりの高さも調査図と照合しましょう。
立上りは、防水を床面から壁側へ立ち上げる部分です。出入口・笠木・排水口・配管とのつなぎ方も確認します。
設備の下など施工できない場所は、対応を聞きましょう。水たまりも材料だけで直るとせず、勾配や排水経路を調べます。
出典:国土交通省|公共建築改修工事標準仕様書 令和7年版、3.2.5・3.2.6
撤去時の仮防水と設備を使える時間を決める
雨への備えと、建物を使える場所・時間を工事計画で確かめます。かぶせでも撤去や固定の作業があるため、次の点を聞きましょう。
撤去や切削を伴う場合は、石綿の事前調査と必要な措置も確認します。自分で材料を削らず、建築時期や資料を施工者へ渡してください。
出典:合成高分子ルーフィング工業会|工事検査チェックリスト「施工準備」、国土交通省|公共建築改修工事標準仕様書 令和7年版、3.1.3、山梨県|解体・改修工事の石綿事前調査等の案内
完了資料には残した層と次の点検箇所を残す
工事が終わったら、新しい材料の名前だけでなく、残した防水層と補修・交換した場所を記録します。次回の調査に使えるよう、次の内容を引き継ぎましょう。
完成写真だけでは内部の処置は分かりません。下地処理など施工途中の記録と、未確認の部分も受け取りましょう。
撤去後に傷みが見つかる場合もあります。追加調査や費用の変更は、写真・位置・理由をどう共有するかを発注前に決めておきましょう。
屋上防水の改修に関するよくある質問
屋上防水の改修について、よくある質問にお答えします。
- Q. 防水は何年で全面更新すればよいですか?
A. 年数だけで全面更新を決めず、既存仕様・症状・改修履歴と今後の利用を照合します。同じ施工年でも状態や確認できる範囲は異なります。
経過年数は調査を計画する手掛かりにし、急ぐ不具合と計画的に扱う範囲を分けてもらってください。
- Q. トップコートの塗り直しだけで雨漏りを止められますか?
A. 保護塗料を塗り直すだけで、防水層の破断や接続部の不具合を直せるとは限りません。保護塗料と、水を遮る防水層は役割が異なります。
漏水がある場合は入口や傷んだ範囲を調べ、保護塗料の更新で足りるという判断の根拠を聞いてください。
- Q. 前回も重ねた屋上に、もう一度かぶせられますか?
A. 改修回数だけで可否を決めず、積み重なった仕様・固定・荷重・端部高さを調べます。以前残した層が不明なら、前回の資料と追加調査が判断材料です。
何回でも重ねられるという説明ではなく、今回残せる層と次回改修の見通しを確認しましょう。
- Q. 保証年数が同じなら、見積もりの内容も同等ですか?
A. 年数が同じでも、工事範囲や保証の対象・除外条件が同じとは限りません。残置部分や設備まわりの扱い、連絡方法も読み合わせます。
保証書の案と施工範囲図を対応させ、どの不具合に誰が対応するかを発注前に聞いてください。
残す層と施工範囲をそろえて防水改修を相談しましょう

屋上防水は、今ある防水と下地を調べたうえで、取り除く範囲と新しい防水の方法を選びます。固定方法や端・排水口の条件も確かめましょう。
相談時は、次の3点を整理してください。
修繕に迷ったら、所在地と症状、施設を使う時間帯をナカゴミ建設へお知らせください。工法と施工範囲は建物を調べて検討します。
山梨で屋上防水や雨漏りの調査・修理を手がける会社として、有限会社佐野防水(甲斐市)を紹介しています。対応範囲は相談時にご確認ください。
出典
- 国土交通省|公共建築改修工事標準仕様書 建築工事編 令和7年版、3.1・3.2・3.6
- 合成高分子ルーフィング工業会|シート防水による防水の改修「改修のポイント」
- 同|シート防水資料集、工事検査チェックリスト(PDF50〜51ページ)
- 日本防水材料協会 アスファルト防水部会|改修工事のポイント
- 日新工業|屋根防水における調査診断
- 同|改修防水工法の選定
- 同|防水層の劣化現象「保護塗料の消失」等
- 同|環境対応型防水改修工法のカタログを一新しました(2023年9月8日)
- エコ・ウレックス工業会|屋上防水改修工事
- マンションリフォーム推進協議会|屋上防水「改修工事の実施回数と撤去・かぶせ判定」
- 国土交通省|建築保全業務共通仕様書 令和5年版、14〜15ページ
- 同|建築設計基準 令和7年改定、2.5.2・2.5.3
- 山梨県|大気汚染防止法に基づく石綿の事前調査等
執筆・編集:ナカゴミ建設 WEB広報